通信

FDDとは?Frequency Division Duplexの仕組みと通信技術への応用

FDD(Frequency Division Duplex)は、送信と受信に異なる周波数帯を用いるデュプレックス方式です。

これにより、双方向通信が同時に可能となり、通信のスループットや効率が向上します。

FDDは主にLTEや5Gなどの無線通信技術で利用されており、スペクトルの有効活用や干渉の低減に貢献しています。

また、固定通信や移動通信でも広く応用され、安定した通信品質を提供しています。

FDDの基本

Frequency Division Duplex(FDD)は、無線通信におけるデュプレックス方式の一つで、双方向通信を同時に行うために異なる周波数帯を使用します。

具体的には、送信(アップリンク)と受信(ダウンリンク)それぞれに専用の周波数帯域を割り当てることで、通信の双方向性を実現します。

FDDは、通信回線が常時接続されており、双方向のデータ交換が必要なリアルタイム通信に適しています。

FDDの主な特徴は以下の通りです:

  • 周波数ペアの使用:送信と受信で異なる周波数帯を使用するため、同時にデータの送受信が可能です。
  • 低遅延:同時通信が可能なため、遅延が少なくリアルタイム性が求められるアプリケーションに適しています。
  • 安定した通信品質:固定の周波数帯を使用するため、干渉が少なく安定した通信が可能です。

Frequency Division Duplexの仕組み

FDDの仕組みは、送信と受信にそれぞれ異なる周波数帯を割り当てることに基づいています。

具体的なプロセスは以下の通りです:

  1. 周波数の分割:通信事業者は、送信用と受信用に別々の周波数帯を確保します。例えば、送信が900MHz帯、受信が930MHz帯といった具合です。
  2. バンドペアの設定:送受信の周波数帯は一定の間隔(バンド幅)で設定され、これにより同時通信が可能になります。
  3. ハンドセットと基地局の通信:携帯電話などのハンドセットは、送信時には送信用の周波数帯を、受信時には受信用の周波数帯を使用して通信を行います。基地局も同様に、送受信用の周波数を管理します。

FDDの利点

  • 同時通信:送受信を同時に行えるため、高効率な通信が可能です。
  • 干渉の低減:送受信が異なる周波数帯で行われるため、干渉が少なく安定した通信が可能です。

FDDの欠点

  • 周波数の効率利用:固定の周波数帯を使用するため、周波数資源の利用効率がTDD(Time Division Duplex)に比べて低い場合があります。
  • 柔軟性の欠如:送受信比率が固定されているため、通信需要に応じた動的な調整が難しいです。

通信技術におけるFDDの応用

FDDは、多くの無線通信技術において標準的なデュプレックス方式として採用されています。

以下は、主な応用例です:

LTE-FDD

LTE(Long Term Evolution)のFDDモードでは、下り(基地局から端末)と上り(端末から基地局)の通信にそれぞれ異なる周波数帯を使用します。

これにより、高速かつ安定したデータ通信が可能となります。

5G NR(New Radio)

5GでもFDDがサポートされており、高周波数帯域を利用することで高速通信と大容量接続を実現しています。

特に、ミリ波帯でのFDDは、高速データ伝送に有効です。

衛星通信

衛星通信においてもFDDは広く利用されています。

送信と受信を異なる周波数帯で行うことで、双方向通信を効率的に実現しています。

公衆無線LAN

一部の公衆無線LANシステムでもFDDが採用されており、安定した通信品質を提供しています。

他のデュプレックス方式との比較

FDDは、TDD(Time Division Duplex)など他のデュプレックス方式と比較して以下のような特徴があります:

特徴FDDTDD
通信方式異なる周波数帯を同時に使用時間軸を分割して送受信を切り替え
遅延低遅延遅延が発生する可能性あり
帯域幅効率固定の周波数帯を使用、効率は中程度周波数資源を柔軟に利用可能、効率が高い
干渉送受信が異なる周波数のため干渉が少ない同一周波数内で送受信を切り替えるため干渉が発生する可能性がある
導入コスト周波数帯の確保が必要でコストが高い場合あり柔軟な運用が可能でコスト効率が良い場合がある

FDDの優位性

  • 同時に送受信が可能なため、リアルタイム性が求められるアプリケーションに適しています。
  • 固定の周波数帯を使用することで、干渉が少なく安定した通信品質を提供します。

TDDの優位性

  • 周波数資源を動的に利用できるため、帯域幅の利用効率が高いです。
  • 上りと下りの通信量を需要に応じて柔軟に調整可能です。

適用シーンの選択

  • FDDは、通信の安定性と低遅延が求められる場面に適しており、既存の周波数帯を有効に活用する場合に有利です。
  • TDDは、周波数資源の効率的な利用や動的な通信需要に対応する必要がある場合に適しています。

両方式にはそれぞれの利点と欠点があり、具体的な用途や環境に応じて最適なデュプレックス方式が選択されます。

まとめ

この記事では、FDDの基本的な概念やその仕組み、通信技術への具体的な応用例について解説しました。

FDDは、双方向通信を効率的に実現するための重要な技術であり、さまざまな通信システムにおいて広く利用されています。

今後の通信環境においてFDDを活用し、より高性能なネットワークの構築を目指しましょう。

関連記事

Back to top button