Wake on LANとは?リモートでパソコンの電源を起動する仕組み
Wake on LANは、ネットワーク経由でパソコンの電源をリモートで起動する機能です。
専用のマジックパケットを送信して、対応したネットワークインターフェースが電源投入の指示を受信する仕組みとなります。
BIOSやOS、ネットワーク機器側の設定が必要ですが、管理の手間を省き、業務効率の向上に寄与します。
Wake on LANの仕組み
Wake on LANは、休止状態やシャットダウン中のPCに対して、ネットワーク経由から電源を入れる仕組みです。
ネットワーク上で特定の信号が送信されると、受信側のPCが反応し、電源が入るように設定される仕組みになっています。
マジックパケットの基本
マジックパケットとは、Wake on LAN専用の信号で、以下の特徴を持ちます。
- ターゲットPCのMACアドレスが16回連続で記載されている
- ブロードキャストアドレスを利用して送信される
- 特殊なパターンによって、他の通信とは区別される
このパケットがネットワーク上に到達すると、対象機器のネットワークインターフェースカードが反応し、電源を起動する動作を始めます。
ネットワークインターフェースの役割
Wake on LANでは、ネットワークインターフェースカード(NIC)が重要な役割を担っています。
通常時は節電モードに入りながらも、マジックパケットを待機しています。
信号受信と起動プロセス
- NICは常に低消費電力モードで稼働し、マジックパケットの到着を監視する
- パケットの内容が設定されたMACアドレスと一致すると、NIC内部の回路がPCに起動信号を送信する
- PCのハードウェアがこの信号を受けることで、電源が入るように切り替わる
設定方法と環境構築
Wake on LANを利用するには、複数の設定項目を確認する必要があります。
PCのBIOS/UEFIやオペレーティングシステム、ネットワーク機器のそれぞれの設定を整えることが大切です。
BIOS/UEFIの設定項目
PCの起動時にBIOSまたはUEFI設定画面に入って、以下の項目を確認します。
- 「Wake on LAN」や「Remote Wakeup」などの設定項目を探す
- 有効化のオプションがある場合は選択する
- 変更後は必ず設定を保存して再起動する
オペレーティングシステム側の設定
OS側での設定も重要です。
OSごとの特徴に合わせた設定手順を確認します。
Windowsの場合
- デバイスマネージャーでネットワークアダプターを選択する
- 「電源管理」タブで「このデバイスでコンピュータのスタンバイ状態を解除できる」にチェックを入れる
- 「詳細設定」タブで
Wake on Magic Packet
などの項目があれば有効にする
Linuxの場合
- ネットワークインターフェースの設定ファイルを確認する
ethtool
コマンドを使い、Wake on LAN機能が有効になっているかチェックする
ethtool [インターフェース名]
- 必要に応じて起動時に設定を反映させるスクリプトを作成する
ネットワーク機器の設定確認
ネットワーク機器も、Wake on LANの動作に影響を与える可能性があるので、設定内容を確認します。
ブロードキャスト許可の確認
- ルーターやスイッチの管理画面にアクセスする
- ブロードキャストパケットが通過できる設定になっているか確認する
- ファイアウォール等でマジックパケットがブロックされない設定にする
運用上の注意事項
Wake on LANの導入にあたっては、運用面での注意事項にも気をつける必要があります。
セキュリティリスクの認識
- 外部から不正なマジックパケットが送信されるリスクがある
- ネットワーク全体のセキュリティ対策を実施する
- 社内LANやVPN利用時に限定するなどの対策を検討する
不正アクセス対策
- 各機器のパスワードを強化する
- ファームウェアやソフトウェアの定期的なアップデートを実施する
- マジックパケットの送信元を制限する設定が可能な場合は利用する
トラブルシューティング
Wake on LANで問題が発生した場合、設定や環境に起因する可能性があるので、原因の切り分けが重要です。
起動しない場合の原因分析
- BIOS/UEFI設定にWake on LAN項目が無効になっていないか
- オペレーティングシステム側で対応する設定が正しく反映されているか
- ネットワーク機器がブロードキャストパケットをブロックしていないか
状況に応じて、以下の点を確認するのがおすすめです。
- 各設定項目の有効化状況
- 利用中のネットワーク機器のログ
- 他のPCで同様の設定を行うなどの比較テスト
設定内容の再確認と対処方法
- BIOS/UEFI設定は再起動後に正しく保存されているか再チェックする
- OS側のデバイスマネージャーや設定ツールで、Wake on LAN機能の動作状況を確認する
- ネットワーク機器の管理画面でブロードキャストパケットの設定状況を確認し、必要ならルールを調整する
再確認後も問題が解決しない場合は、一つ一つの設定項目を順番に見直すのが効果的です。
まとめ
今回の内容では、Wake on LANの仕組みから設定方法、運用上の注意事項、トラブルシューティングまでの流れを解説してきました。
各環境に合わせた設定や確認作業を着実に実施することで、リモートからのPC起動がスムーズに行えるようになります。
今後、トラブルが発生した際に今回の内容が役立つことを期待しています。