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【pathping】 ネットワーク経路の遅延やパケット損失を調査するコマンド

Pathpingは、ネットワーク経路上の各ノードにおける遅延やパケット損失を同時に調査できるコマンドです。

PingとTracerouteの機能を組み合わせ、到達経路を確認しながら各経由点の通信状態を解析します。

ネットワークトラブルの原因究明や改善に役立ち、管理運用の効率化にも貢献します。

Pathpingの基本情報

Pathpingとは

Pathpingは、ネットワーク診断ツールの一つで、ネットワーク経路上の各ノードにおけるパケットの遅延および損失状況を詳細に調査できるコマンドです。

Pingの応答時間計測機能とTracerouteの経路確認機能を融合させ、各ホップの状態を統計的に把握できるため、障害発生時にどこで問題が生じているかを特定するのに役立ちます。

PingおよびTracerouteとの相違点

Pathpingは単一のホストへの疎通確認を行うPingや、ネットワーク経路を表示するTracerouteと異なり、以下の特徴を持ちます。

  • 各ホップごとにパケット送受信の状況や遅延、損失率を計測する
  • 複数回のデータ収集によって、リアルタイムな状況だけでなく統計情報を提供する
  • ネットワーク全体の品質を総合的に把握するため、原因の切り分けに有用

登場背景と基本構成

ネットワークの複雑化に伴い、単純な疎通確認では原因特定が困難なケースが増えました。

そのため、各経路上の詳細な情報を取得し解析する必要性が高まった背景があります。

Pathpingはこうしたニーズに応えるために登場し、以下の基本構成で動作します。

  • 最初にTracerouteのような方式で経路を特定
  • 特定した各ホップに対して複数回のICMPパケットを送信し、応答情報を収集
  • 集計した統計情報を基に、各ノードごとの遅延やパケット損失率を算出

動作原理と解析の仕組み

パケット送受信の流れ

Pathpingは、以下の流れでパケットの送受信を行います。

  • 経路の特定:ターゲットまでの各ホップをTraceroute方式で検出し、ルート情報を取得する
  • パケットの送信:各ホップに対して一定回数のICMP Echoパケットを順次送信し、応答情報の記録を開始する
  • データの集計:送信したパケットと受信した応答を比較し、各ホップごとに遅延時間とパケット損失の統計情報を算出する

この一連の流れにより、ネットワーク経路上での問題箇所を正確に把握することが可能になります。

遅延計測の手法

Pathpingでは、各ホップの応答時間を複数回計測することで、遅延の平均値を算出します。

具体的には以下の手順で実施されます。

  • 各ホップに送信されたパケットの往復時間を測定
  • 計測した複数の値から平均値を算出し、通常時の遅延や一時的な増加を検出
  • 継続的な計測により、一貫性のあるデータを提供する

この手法により、単発の計測では見逃しがちな一時的なネットワーク負荷や障害の兆候を捉えることができるのです。

パケット損失検出の仕組み

Pathpingは、各ホップに対して複数回のICMP Echoパケットを送信した上で、期待されるパケット数と実際に受信したパケット数を比較します。

具体的な仕組みは以下の通りです。

  • 送信したパケットの総数と、各ホップから受信したパケット数を記録する
  • パケットの受信状況に基づいて、損失率(%)を計算する
  • 損失率が高いホップについては、ネットワーク障害の可能性を示唆し、さらなる調査の対象とする

このプロセスにより、どのノードでパケットが失われやすいかを明確に示すことができます。

使用方法と出力結果の分析

コマンド基本構文の説明

Pathpingはシンプルなコマンド構文で実行でき、基本的な使い方は以下の通りです。

  • ターゲットの指定は、ホスト名またはIPアドレスを用いる
  • 必要に応じて各種オプションを追加し、計測条件やタイムアウト時間などを調整する

コマンド実行時、Pathpingは自動で経路の検出と統計情報の取得を開始するため、初めての利用でも比較的扱いやすくなっています。

主なオプションの解説

Pathpingで利用可能な主なオプションには以下のものがあります。

  • -n

ホスト名の解決を省略し、IPアドレスのみを表示することで、表示速度を向上させる

  • -w

各応答に対する待機時間(タイムアウト)をミリ秒単位で設定する

  • -q

各ホップに対して送信するパケットの回数を指定する

これらのオプションを適切に設定することで、特定のネットワーク環境や要件に合わせた詳細な調査が可能となります。

コマンド実行例

例えば、192.168.1.1宛にPathpingを実行する場合、以下のように入力します。

pathping 192.168.1.1

この例では、ターゲットとなるIPアドレスまでの経路上のホップごとの遅延とパケット損失の統計情報が順次表示されます。

出力結果の読み取り方

Pathpingの実行結果は大きく以下の二つに分かれています。

  • 経路情報セクション:各ホップのIPアドレス、ホスト名、および経路順序が表示される
  • 統計情報セクション:各ホップに対する送信パケット数、受信パケット数、損失率、及び平均遅延時間などの詳細な計測結果が記載される

これにより、ネットワーク全体の状態を直感的に把握でき、どのノードに問題があるかを迅速に特定することができます。

各指標の意味

出力結果に含まれる主要な指標について、以下のように理解します。

  • 送信パケット数:各ホップに向けて送信されたパケットの総数
  • 受信パケット数:各ホップから受信したパケットの数
  • 損失率:送信パケット数に対する受信されなかったパケットの割合
  • 平均遅延時間:複数回の計測結果の平均として求められる往復時間

これらの指標により、各ホップの通信状態が数値的に表現され、原因究明の際の重要な手がかりとなります。

経路情報の解析方法

経路情報を解析する際は、以下の点に着目することが推奨されます。

  • 各ホップのIPアドレスとホスト名を確認し、経路上でどのようなルーターやゲートウェイが存在しているかを把握する
  • 損失率や遅延時間が著しく高いホップを抽出し、その前後のネットワーク機器との連携状態を調査する
  • 出力結果の変化を時系列で追い、特定の時間帯に問題が集中していないかを確認する

このような解析方法により、ネットワーク障害の発生箇所や原因をより具体的に特定することが可能となります。

運用上の考慮点と注意事項

利用環境ごとの留意点

Pathpingの利用にあたっては、環境ごとに以下の点を考慮する必要があります。

  • 組織やネットワークの構成に応じて、経路情報が複雑になる場合があるため、解析には十分な知識が求められる
  • ファイアウォールやルーターの設定により、ICMPパケットが制限されるケースが存在するため、事前にネットワーク機器の設定を確認する
  • 複数のネットワークセグメントが存在する環境では、各セグメントごとに異なる解析手法が求められる可能性がある

運用時の注意事項

運用段階では、Pathpingの利用方法とタイミングにも注意が必要です。

  • 大規模なネットワークで実行する場合、計測対象の各ノードに負荷がかかることがあるため、実行のタイミングや頻度に配慮する
  • 出力結果は実行時点の状況を反映するため、継続的な計測を行い、複数のデータを参照することが望ましい
  • 一時的な障害と恒常的な問題を区別するため、定期的な監視と記録の蓄積が有効である

他ツールとの連携例

Pathpingで取得したデータは、他のネットワーク解析ツールと組み合わせることで、より深い解析が可能になります。

  • Wiresharkなどのパケット解析ツールと連携し、トラフィックの詳細な状況を調査する
  • netstatや他のネットワークモニタリングツールと併用して、システム全体の通信状態を包括的に把握する
  • 統計情報をグラフ化するツールを活用し、時間軸での変化やトレンドを視覚的に把握することで、問題発生のタイミングや傾向を分析する

まとめ

本記事では、Pathpingの基本と動作原理、パケットの送受信過程や遅延、損失の計測手法、さらに出力結果の読み取り方とネットワーク運用時の留意点について解説しました。

Pathpingを利用することで、ネットワーク上の各ノードの状態を把握し、問題箇所を迅速に特定できる知識が得られます。

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