セキュリティ

マリシャスコードとは? 悪意あるコード混入がもたらすリスクと対策を解説

マリシャスコードとは、ソフトウェアのパッケージやライブラリに混入した悪意あるコードのことを指します。

利用者がインストールする際に気づかず取り込んでしまい、情報漏洩やコンピュータリソースの不正利用などのリスクが発生します。

そのため、依存関係の管理や脆弱性対策などの安全対策が重視されています。

マリシャスコードの定義と背景

定義の詳細

マリシャスコードは、攻撃者が意図的に悪意のあるコードをソフトウェアパッケージやライブラリに組み込む行為を指します。

利用者がこれらのパッケージをインストールする際に、知らずにマリシャスコードが取り込まれてしまうことがあり、システム全体に影響をもたらすことがあります。

具体的には、機微情報の漏洩や不正な操作、さらにはコンピュータリソースの悪用など様々なリスクが付随します。

登場の背景と経緯

オープンソースソフトウェア(OSS)の普及に伴い、手軽に利用できるパッケージが増加しました。

利用者は便利さを享受する一方で、攻撃者が悪意を持って改変したパッケージを仕込むリスクも高まっています。

近年の事例では、JavaScriptパッケージリポジトリnpmで過去6ヶ月間に1,300を超えるマリシャスパッケージが検出されたとの情報もあり、セキュリティ対策がますます重要になっています。

感染メカニズムと実装の特徴

悪意あるコードの実装方法

攻撃者は、通常のパッケージに細工を加えることでマリシャスコードを実装します。

具体的な実装方法は以下のようなケースが見受けられます。

  • ソフトウェア更新時にコードが密かに付加されるケース
  • 初期バージョン自体に悪意のあるコードが組み込まれているケース
  • 正規のコードに紛れて動作するステルス性の高いコードの埋め込み

これらの手法を利用し、攻撃者は利用者に不正な動作をさせる意図を持っています。

感染ルートのパターン

マリシャスコードに感染するルートは多岐にわたります。

利用者は依存関係にあるパッケージをインストールする際に、知らずに悪意あるコードが含まれているパッケージを取り込む可能性があります。

たとえば、ライブラリの更新が自動で行われる際に、内部に紛れ込んだマリシャスコードがシステム全体に波及するリスクが考えられます。

パッケージ混入事例

実際に、以下のような事例が報告されています。

  • npmリポジトリにおいて、正規のパッケージに見せかけたものが後から改変されたケース
  • オープンソースプロジェクトの依存パッケージが、意図せずに改変されマリシャスコードを含むようになったケース

これらの混入事例は、ソフトウェアサプライチェーン全体のセキュリティに対する注意喚起につながります。

発生するリスクと影響

情報漏洩の可能性

マリシャスコードは、システム内にある環境変数や認証情報、APIキーなどの機微情報を狙うケースが多く見受けられます。

攻撃者はこれらの情報を外部に送信し、情報漏洩につなげる可能性があります。

情報漏洩が発生すると、企業や個人に大きな損失が生じることも懸念されます。

システム運用への影響

マリシャスコードがシステム上で動作すると、通常の業務やサービスの運用に影響が及ぶ場合があります。

突然の不具合やサービスの停止、意図しない動作が発生することで、利用者の業務に支障をきたすこともあります。

加えて、復旧作業や原因の追及に余分な時間が必要になる可能性があります。

コンピュータリソースの不正利用

攻撃者は、マリシャスコードを用いて暗号資産のマイニングなど、特定の目的でコンピュータリソースを不正に利用する手法を採用することがあります。

これにより、システム全体のパフォーマンスが低下し、場合によってはハードウェアの損傷や過熱といった問題にも発展する可能性が出てきます。

セキュリティ対策と管理上の留意点

依存関係の適切な管理

ソフトウェアの依存関係をしっかり管理することは、マリシャスコードによるリスクを軽減する大切なポイントです。

利用しているパッケージやライブラリの信頼性を定期的にチェックする取り組みが求められます。

ソフトウェア部品表(SBOM)の活用方法

SBOMは、ソフトウェアの構成要素を網羅的に把握するための仕組みです。

SBOMを活用することで、以下のようなメリットが期待できます。

  • ソフトウェア内に含まれるすべてのコンポーネントの情報を明確に把握できる
  • 依存パッケージの脆弱性や改変リスクを迅速に特定できる
  • 管理体制の強化やセキュリティ対策の向上につながる

これにより、万が一マリシャスコードが侵入した際の影響範囲を迅速に把握することが可能になります。

定期的な脆弱性チェック

パッケージや依存関係は常に最新の状態に保つ必要があります。

定期的な脆弱性チェックを行うことで、以下のような対策が実現できます。

  • 脆弱性を早期に検出し、迅速なアップデートや修正を行いやすくなる
  • 攻撃者が悪意のあるコードを仕込む前に、異常の兆しを把握できる
  • 安全性が確保された状態を維持するための運用体制が整いやすくなる

セキュリティツールや専用クラウドサービスを組み合わせる方法もあり、管理者の負担軽減と迅速な対応が期待できます。

セキュリティ運用の強化方法

システム全体のセキュリティ運用を強化することは、マリシャスコードのリスク低減に直結します。

以下の取り組みが効果的です。

  • セキュリティ運用体制の整備と定期的な見直し
  • 社内外の脅威情報を共有し、迅速な対応を行う仕組みの導入
  • マリシャスコードを含む脅威情報をリアルタイムに収集するための監視システムの構築

これらの施策は、攻撃の兆候を早期に察知し、対策を講じるための重要な要素となります。

また、関係者間での情報共有や連携も、被害の拡大を防ぐために重要なポイントです。

まとめ

今回の記事では、マリシャスコードの定義や背景、感染メカニズムに加え、発生するリスクとその影響について詳しく説明しました。

さらに、依存関係の管理や定期的な脆弱性チェック、そしてセキュリティ運用の強化といった対策についても触れました。

これらの対策を実施することで、万が一の被害発生時にも迅速な対応が可能となり、システム全体の安全性向上につながると期待されます。

関連記事

Back to top button