セキュリティ

dos攻撃とは?大量パケット送信でサービス停止を狙う攻撃手法の仕組みと対策方法

dos攻撃は、Denial of Service attackの略で、大量のパケットを送ることでサーバーに過剰な負荷をかけ、正常なサービス提供を妨げる攻撃です。

スマーフ攻撃やSYNフラッド攻撃などの手法があり、その結果ウェブサイトの停止やシステムの不具合が発生する可能性があります。

dos攻撃の定義と背景

dos攻撃の定義

dos攻撃とは、大量のパケットを標的のサーバーに送信することで、リソースを圧迫し正常な通信やサービスの提供を困難にする攻撃手法です。

この攻撃は、通信回線やシステムのキャパシティを限界まで消費させることで、正規ユーザーのアクセスを妨害する目的で行われます。

  • 大量のパケット送信による負荷増大が基本原理です。
  • 攻撃対象は特定のサーバーやネットワーク全体になる場合があります。
  • 「サービス停止攻撃」とも呼ばれることが多いです。

歴史的背景と発展経緯

dos攻撃の概念は、インターネットの黎明期から存在していました。

  • 1990年代後半には、通信プロトコルの脆弱性を突く攻撃が複数報告されるようになりました。
  • インターネットが普及するにつれ、攻撃手法も高度化し、さまざまな種類のdos攻撃が登場しました。
  • 初期の攻撃から現在に至るまで、攻撃者はターゲットのシステムやネットワークの弱点を突くため、攻撃のパターンを絶えず変化させています。

代表的な攻撃手法

Smurf攻撃

仕組みと動作原理

Smurf攻撃は、送信元アドレスを偽装したICMPリクエストをネットワークのブロードキャストアドレスに送ることで発生します。

  • 偽装した送信元アドレスは攻撃対象のIPアドレスに設定されます。
  • ブロードキャストアドレスに送信されると、一斉に多数のレスポンスが発生します。
  • その結果、ターゲットサーバーは大量の不要な応答に対処しなければならず、通常の通信が妨げられます。

攻撃実例

実際の事例では、以下のようなケースが報告されています。

  • 企業のウェブサイトやオンラインサービスが、わずかな時間でアクセス不可能な状態になったケース。
  • 一部のISPがSmurf攻撃の影響を受け、ネットワーク全体で遅延やパケットロスが発生した事例。
  • 攻撃の手法自体はシンプルであるため、実装の難易度は低いものの被害が大きくなることが確認されています。

SYNフラッド攻撃

攻撃の流れと特徴

SYNフラッド攻撃は、TCPの接続確立過程である3ウェイハンドシェイクを悪用して行われます。

  • 攻撃者はSYNパケットを大量に送信します。
  • サーバーは通常の接続要求として応答し、接続待ち状態が発生します。
  • 攻撃者が意図的に応答を行わないため、サーバー上の接続待ちリソースが枯渇します。
  • 結果として、正規ユーザーの接続要求が拒否され、サービスが停止するリスクが生じます。

被害事例の紹介

SYNフラッド攻撃は、以下のような実際の被害事例が存在します。

  • 大手オンラインサービスが、短期間でアクセス不能となった事例。
  • 金融機関のオンラインバンキングシステムが、不正な大量接続要求により一時的に機能停止したケース。
  • 攻撃が進行した際、システムのリソースが逼迫し、復旧までにかなりの時間を要した例も報告されます。

その他の手法

HTTP Flood攻撃などの例

HTTP Flood攻撃は、Webサーバーに対して大量のHTTPリクエストを送信することで、処理能力を超える負荷をかける攻撃手法です。

  • 普通のWebアクセスと見分けがつきにくい点が特徴です。
  • 攻撃者は自動化されたスクリプトやボットネットを使用し、同時に多数の要求を発生させます。
  • この手法により、Webアプリケーションの応答速度が低下し、最悪の場合、サービス自体が停止することがあります。

dos攻撃が及ぼす影響

サーバーへの負荷とサービス停止

リソースの過負荷による障害

dos攻撃により、サーバーは通常の処理以上の負荷を強いられます。

  • CPUやメモリ、ディスクI/Oなどのリソースが過剰に使用されます。
  • システムの応答時間が極端に遅くなり、ひとたび負荷が高まると通常業務が行えなくなる状況が発生します。
  • サーバーの設定リソースを消費し、故障やクラッシュのリスクも高まります。

システム停止のリスク

攻撃により、システムが完全に停止するリスクも考えられます。

  • 多数の接続要求がサーバーを圧迫することで、サービス提供機能が停止します。
  • 障害発生時には、復旧作業に時間がかかる可能性があり、経済的な損失に繋がることがあります。
  • 攻撃を受けたシステムは、再起動やリソース再配分の必要が生じ、運用上の影響が避けられません。

ネットワークへの影響

通信帯域の占有

dos攻撃は、ネットワーク上の通信帯域を占有するため、他の通信にも悪影響を及ぼします。

  • 攻撃パケットが大量に流れることで、通常のデータ通信が滞る場合があります。
  • 帯域が圧迫され、ネットワーク全体のパフォーマンスが低下します。
  • 通信障害により、重要な情報の送受信が阻害されるリスクも存在します。

混雑による全体的な遅延

ネットワーク上に大量のパケットが流れると、混雑が生じ全体的な遅延が発生します。

  • 正常なパケットがルーティング経路上で滞留し、到達時間が延びる可能性があります。
  • オンラインサービスにおけるユーザー体験が大幅に損なわれる場合があります。
  • 特にリアルタイム性を求めるサービスでは、少しの遅延でも大きな影響が出るケースが確認されています。

対策と防御策

ネットワーク対策

ファイアウォールとパケットフィルタリング

dos攻撃対策の一環として、ファイアウォールやパケットフィルタリングを活用する方法があります。

  • ファイアウォールにより不正なパケットを検出し、遮断するルールを設定できます。
  • パケットフィルタリングで、攻撃パターンを識別し、正常な通信と否を判断します。
  • これにより、標的サーバーへの不要なトラフィックを事前にカットすることが可能です。

帯域制限の実施

ネットワーク全体で帯域制限を実施することも効果的な対策です。

  • 帯域制限により、1つの接続に対して使用できる通信量を制限できます。
  • 攻撃時に大量のパケットが一箇所に集中するのを防ぎます。
  • 正常な通信が確保され、攻撃の影響をある程度緩和できます。

サーバー対策

設定の強化とリソース監視

サーバー側でも適切な設定の強化とリソース監視が求められます。

  • 不要なサービスの停止や、攻撃を想定した設定変更を行います。
  • リソース監視ツールを導入し、CPU、メモリ、ネットワーク使用状況を常にチェックします。
  • 異常なピークが発生した場合、直ちに対策を講じる体制を整えます。

攻撃検知システムの導入

dos攻撃を早期に検出するためのシステム導入も効果があります。

  • 攻撃検知システムは、通常のアクセスパターンからの逸脱をリアルタイムに警告します。
  • 異常なアクセスがあった場合、管理者に即時通知する仕組みを組み込むと安心です。
  • 自動化された対策と連動させることで、被害拡大を未然に防ぐ対策が可能です。

外部対策

クラウド防御サービスの活用

近年はクラウドベースの防御サービスが普及しており、dos攻撃に対しても対応できます。

  • クラウド防御サービスは、ネットワークトラフィックを一旦自身のサーバーで緩和し、クリーンな状態で標的に転送します。
  • 攻撃が集中した場合でも、分散されたリソースを活用するので安定したサービス提供が可能です。
  • 大規模な攻撃に対しても柔軟に対応できる点が魅力です。

セキュリティパートナーとの連携

外部のセキュリティ専門企業との連携も重要な対策です。

  • セキュリティパートナーは、最新の攻撃手法に関する情報や対策技術を提供します。
  • 緊急時の対応や、攻撃の解析による原因特定の支援を受けることが可能です。
  • 定期的なセキュリティレビューを実施し、システムの脆弱性を常にチェックすることで、万一の攻撃に迅速に対応できます。

まとめ

dos攻撃は、大量のパケット送信により標的サーバーやネットワークを圧迫し、正常なサービス提供を妨げる攻撃手法です。

Smurf攻撃やSYNフラッド攻撃、HTTP Flood攻撃など具体例があり、それぞれ異なる手法でシステムや帯域に影響を与えます。

対策としては、ネットワークのファイアウォールや帯域制限、サーバー設定とリソース監視、攻撃検知システムの導入、およびクラウド防御サービスの活用が有効です。

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