分散とは?統計の基本からExcelでの計算方法と応用例までわかりやすく解説
分散は、データのばらつきを示す統計量です。
各データと平均値との差を2乗して平均を求めることで計算し、\( \sigma^2 = \frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}(x_i-\mu)^2 \)の式で表されます。
データ解析や機械学習など幅広い分野で利用され、ExcelではVAR関数やVARP関数で簡単に求めることができます。
分散の基本
分散の定義と意味
分散とは、データ全体のばらつきを数値化する指標であり、各データが平均値からどの程度離れているかを示します。
分散を求める計算手法は、以下の手順で行われます。
- 各データから平均値を引いて差を求める
- 各差をそれぞれ2乗する
- 2乗した値の合計をデータの個数または個数から1を引いた値で割る
このように計算することで、データの散らばり具合が明確に捉えられるため、統計解析やデータ分析において非常に重要な指標となっています。
分散が注目される理由
分散は平均値だけでは把握しきれないデータの広がりやばらつきを明らかにします。
具体的には、以下の理由から注目されています。
- データの信頼性や安定性を評価する際に役立つ
- 異なるデータセット間の比較が容易になる
- リスク評価や品質管理など、多岐にわたる分野で利用される
分散の値が大きい場合は、データが平均値から大きく離れて散らばっていることを意味し、逆に小さい値はデータが平均値の周りに集まっていることを示します。
分散の計算方法
平均値との差を利用した計算手法
分散の計算は、各データと平均値との差を求め、その差を二乗してから全体で平均するという方法で行います。
具体的な手順は以下の通りです。
- 各データについて、平均値との差
x_i - x̄
を求める - 得られた差を二乗し、
(x_i - x̄)²
とする - 全ての二乗値を合計し、その合計をデータの数で割る(またはデータの数から1を引いた値で割る)
この計算手法により、正負の差が相殺されるのを防ぎ、全体のばらつきを正確に反映する値が得られます。
不偏分散と標本分散の違い
分散には、計算に用いるデータ数の違いによって2種類の計算方法が存在します。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
- 不偏分散は、母集団の分散を推定するために、サンプルデータから計算される
- 標本分散は、サンプルそのものの散らばりを示す値となる
それぞれの計算方法は、実際にデータ解析を行う際の目的に応じて使い分けられます。
不偏分散の計算式
不偏分散は、サンプルから母集団の分散を推定するため、データの個数から1を引いた値で割ります。
計算式は以下の通りです。
s² = Σ(x_i - x̄)² / (n - 1)
ここで、x_i
は各データ、x̄
はサンプルの平均、n
はデータの個数です。
標本分散の計算式
一方、標本分散はサンプルそのものの散らばりを表現するため、データの個数で割ります。
計算式は以下のようになります。
σ² = Σ(x_i - x̄)² / n
この違いにより、同じデータであっても計算結果が異なるため、目的に応じた適切な指標を選ぶ必要があります。
Excelにおける分散の計算
VAR関数による不偏分散の求め方
Excelでは、VAR
関数を利用して不偏分散(サンプル分散)を簡単に求めることができます。
使用方法は以下の通りです。
- データ範囲を選択し、セルに
=VAR(データ範囲)
と入力する - Enterキーを押すと、不偏分散(分母が n-1 の値)が計算される
この関数は、統計解析の際にサンプルデータのばらつきを評価するのに便利です。
VARP関数による標本分散の求め方
標本分散(母集団分散)を求める場合には、Excelの VARP
関数を使用します。
具体的な手順は次の通りです。
- データ範囲を選択し、セルに
=VARP(データ範囲)
と入力する - Enterキーを押すと、標本分散(分母が n の値)が計算される
この関数を用いることで、全体の母集団が対象の場合の分散を迅速に求めることができ、分析作業が効率化されます。
分散の応用例
統計解析における分散の役割
統計解析では、分散はデータセットの散らばりや信頼性を評価するために欠かせない指標です。
以下のような点で活用されます。
- データの一貫性の確認や異常値の検出に利用される
- 仮説検定や回帰分析など、さまざまな統計手法の前提条件の確認に役立つ
- 複数のデータセット間でばらつきを比較することで、信頼性や安定性を評価できる
こうした役割から、分散は統計解析の基本的な要素として広く使用されています。
機械学習での分散の活用例
機械学習分野においても、分散は重要な役割を果たします。
具体的には、以下のような局面で利用されます。
- 特徴量選択や次元削減の際に、各特徴量の重要性やばらつきを評価するために使用される
- クラスター分析やアノマリー検出などで、データ間のばらつきを定量的に把握する手段となる
- モデルの学習状況を評価する指標の一つとして、予測誤差の分散が使用される
これらの応用例から、分散は機械学習によるデータ解析においても、基礎的かつ重要な指標として役割を果たすことが理解されます。
まとめ
この記事では、分散の基本や、その計算手法について詳しく解説しました。
各データが平均値からどの程度離れているかを示す分散の意味、計算時に用いる不偏分散と標本分散の違いを理解できる内容となっています。
また、ExcelのVAR関数やVARP関数を用いた具体的な計算方法と、統計解析や機械学習での応用例を通して、実際の業務や分析に役立つ分散の利用方法が把握できます。