DDoS攻撃とは?複数の端末からの大量パケット送信でサービス停止を狙う攻撃の仕組みと対策
ddos攻撃はDistributed Denial of Service attackの略で、複数の端末から大量のパケットを送信し、標的のサーバーやネットワークのサービスを妨害する攻撃です。
セキュリティが脆弱なシステムが踏み台にされ、不正な通信が通常の通信と混じるため検知が難しいです。
攻撃手法はソフトウェアやプロトコルの不具合を突くものと、単純に過剰な負荷をかけるものに分けられ、対策の重要性が高まっています。
攻撃の仕組み
複数端末の協調動作
分散型サービス拒否攻撃は、複数の端末が連携して攻撃対象にアクセスする仕組みです。
被害者のサーバーやネットワークに対し、多数の端末から同時にリクエストやパケットが送信されることで、処理能力を超える負荷をかける目的があります。
連携する端末は、攻撃者が管理下に置いたものや、セキュリティの脆弱性を突いて侵入した機器となる場合が多いです。
踏み台システムの利用事例
以下のようなケースで踏み台システムが利用されます。
- セキュリティ対策が十分でないウェブサイトやサーバーが悪用される
- クラッキングツールが不正にインストールされた機器が連携して攻撃に参加する
- 感染した IoT デバイスが攻撃の一端として攻撃対象に向けて大量パケットを送信する
これらの踏み台は、攻撃者から直接識別されにくい立場となるため、発見や対処が難しいという特徴があります。
パケット送信の特徴
DDoS攻撃において送信されるパケットは、正常な通信と見分けがつかない場合も多いですが、同時に大量送信されるためにネットワーク全体に混乱を招きます。
送信のパターンや量によって、攻撃と通常の通信の違いが現れます。
不正パケットと通常パケットの違い
不正パケットと通常パケットには以下のような違いがあります。
- 不正パケットは、攻撃目的で意図的に大量送信されるため、短時間でトラフィックが急増する
- 通常パケットは、決まった通信プロトコルに従い、比較的安定したレートで送受信される
- 不正パケットには、攻撃を隠蔽するために正しいプロトコルヘッダーが付与されることもあるため、内容の解析が必要となる
これにより、ネットワーク管理者は不正な活動を検知するために高度なトラフィック解析技術を使用する必要があります。
攻撃の種類と特徴
脆弱性を突く攻撃
DDoS攻撃の中には、システムや通信プロトコルの脆弱性を狙う手法があります。
これらの攻撃は、ターゲットシステムの弱点を突くことで、通常では発生しにくい挙動を引き起こすことを目的としています。
ソフトウェアの欠陥悪用
ソフトウェアには予期せぬ動作やバグが存在する可能性があり、攻撃者はこれらの欠陥を悪用してシステムに過剰な負荷をかけます。
具体的なケースとしては以下が挙げられます。
- 入力されたデータの検証が不十分な部分を狙い、大量のリクエストを発生させる
- メモリ管理の不備を利用して、サーバーの動作を停止させる攻撃が実施される場合
プロトコル上の問題点の悪用
通信プロトコル自体に存在する設計上の問題点を突かれるケースもあります。
例えば、一部のプロトコルではリクエストとレスポンスの対応が明確でないため、本来であれば相互確認をするところで過剰なリクエストが発生すると、次のような状況が生まれます。
- リクエストの処理においてサーバーが予測不能な挙動を示す
- 攻撃による増大したトラフィックが、ホスト側のリソースを枯渇させる
これにより、システム全体が不安定な状態に陥ることがあります。
大量負荷による攻撃
単純に大量のトラフィックを送信する手法も広く使われています。
攻撃者は、必要以上のリクエストを短時間に一斉送信することで、インフラ自体を機能不全に追い込みます。
トラフィック急増による影響
トラフィックが一気に増加すると、以下のような影響が出る可能性があります。
- サーバーの処理能力を超えたリクエストが集中することで、リソースが消費される
- ネットワーク帯域が逼迫し、正常な通信が妨げられる
- クラウド環境などでは、過剰なリクエストが自動的にスケールアウトを引き起こすが、限界に達するとシステム全体が不安定になる
このような状況は、通常の利用環境下では見られない急激な変化であり、攻撃の兆候を見逃さないことが求められます。
標的システムへの影響
サーバー負荷の増加
標的となるサーバーは、短期間に大量のアクセスを受けることで、通常の処理能力を超える負荷がかかります。
結果として、サーバーのパフォーマンスが低下し、最終的には利用者へのサービス提供が困難になる場合があります。
応答時間の延長
サーバーに過剰な負荷がかかると、通常のリクエスト処理速度が遅くなります。
具体的には、次のような現象が発生します。
- リクエストに対する応答時間が長引く
- サーバーの処理待ちキューが増大し、応答の遅延が一層深刻化する
- 正常な利用者でも、サイトの読み込みや操作に時間がかかるようになる
これにより、ユーザーエクスペリエンスが大きく損なわれる恐れがあります。
サービス停止のリスク
攻撃がピークに達すると、システム全体がダウンし、サービスが一時的または長期的に停止するリスクが高まります。
サービス停止は、ビジネスに多大な損失をもたらすだけでなく、信頼性の低下にもつながります。
通常利用者への影響
攻撃の影響は、システム管理者だけでなく、日常的にそのサービスを利用する利用者にも及びます。
- サービスにアクセスできなくなるため、業務効率が低下する可能性がある
- 電子商取引サイトの場合、売上損失が発生するリスクがある
- ユーザーからの信頼を失い、ブランドイメージに深刻なダメージを与える
このような影響は、攻撃の規模や期間に応じて深刻度が変わるため、迅速な対策が求められます。
防御策と対策
ネットワーク監視の強化
DDoS攻撃を早期に発見するためには、ネットワークのトラフィックを常時監視する必要があります。
具体的な方法としては以下が挙げられます。
- ネットワーク監視ツールを導入し、異常なトラフィックパターンをリアルタイムで検出する
- 定期的なログ分析により、攻撃の兆候を事前に察知する
- 異常検知時のアラートシステムにより、迅速な対策を開始する
これにより、攻撃の初期段階で対応策を講じることが可能となります。
インフラ冗長性の確保
サーバーやネットワークの冗長性を確保することで、一部のシステムが攻撃を受けた場合でも、全体への影響を最小限に抑えられます。
主な対策は以下です。
- 複数のサーバーやデータセンターを用意し、負荷分散を行う
- クラウドサービスの利用により、スケールアウトが容易な環境を整備する
- バックアップ回線を確保し、主要回線が攻撃を受けた場合の代替手段を準備する
これにより、システム全体の耐障害性を向上させ、攻撃による一時停止のリスクを低減できます。
攻撃検知と自動応答システム
最新のセキュリティ対策では、攻撃を自動的に検知し、対策を自律的に実行する仕組みが重要となります。
以下の技術が活用されます。
- AI や機械学習を利用した不正トラフィックの自動検出
- 特定の事象が発生した時に、トラフィックを自動的に遮断するシステム
- 異常トラフィックをリアルタイムで解析し、即座に対策プロセスを起動する仕組み
これらのシステムは、攻撃による被害を最小限に抑えるための重要な手段として活用されます。
攻撃事例と展望
最近の実例紹介
実際に発生した事例では、以下のような攻撃が報告されています。
- 大手ウェブサービスを狙った分散型攻撃により、一時的なサービス停止が発生したケース
- IoTデバイスを悪用した大量パケット送信により、企業のインフラに過剰な負荷がかかった事例
- クラウド基盤での攻撃により、複数の地域でサービス停止が確認されたケース
これらの実例は、一般的なセキュリティ対策だけでは防ぎ切れない攻撃が存在することを示しています。
攻撃手法の進化傾向
DDoS攻撃は、技術の進歩とともに手法も進化しています。
最近の動向としては次の点が挙げられます。
- 攻撃に使用される機器の数や性能が向上し、より大規模な攻撃が可能になった
- 以前は存在しなかった新たな脆弱性が発見され、攻撃者側が迅速に手法を適用する傾向がある
- 防御手法も高度化しているが、攻撃手法の多様化に対応しきれないケースが増えている
これにより、継続的な技術革新とセキュリティ対策の更新が必要になる状況です。
今後の防御課題と対応策
今後も進化し続ける攻撃手法に対しては、動的な対応策が求められます。
具体的な課題と対応策は以下の通りです。
- 新たな攻撃手法に対する迅速な情報共有と対策の展開
- セキュリティシステムのアップデート頻度の向上と自動化への取り組み
- 組織全体でのセキュリティ意識の向上と、定期的な訓練による迅速な対応の確立
これらの課題に対処するため、業界内での協力や最新技術の導入が進められ、より安全なネットワーク環境の構築が期待されています。
まとめ
本記事では、DDoS攻撃が複数の端末による連携で大量のパケットを送信する手法であることを説明しました。
踏み台システムの利用や正規パケットとの違い、脆弱性悪用と大量負荷による攻撃手法の2種類があり、サーバー負荷増大や応答時間の延長、最終的にサービス停止に至るリスクがあると理解できます。
また、ネットワーク監視強化や冗長性確保、自動応答システムによる対策が今後の課題解決に不可欠である点がまとめられます。