UNIXコマンド

【nohup】 シェル終了後もプロセスを実行し続けるコマンド

nohupコマンドは、シェル終了後もプロセスを継続して実行するために利用されます。

リモートセッションの切断時にSIGHUPシグナルを無視し、バックグラウンド処理を維持できるため、長時間実行するタスクやリモート作業で重宝されます。

出力は通常、nohup.outに記録されます。

nohupの基本機能

nohupの概要

nohupは、シェルの終了後も指定したコマンドやプロセスを実行し続けるためのコマンドです。

シェルセッションが切断される場合でも、プロセスが影響を受けずに動作を継続するよう設計されています。

サーバー上で長時間実行する処理や、リモート接続中の作業に活用されることが多いです。

シェル終了時の動作とSIGHUPシグナル無視の仕組み

通常、シェルが終了すると、そのシェルで起動したプロセスに対してSIGHUPシグナルが送信されます。

SIGHUPは「Hangup」の略で、端末の切断を意味します。

nohupはこのシグナルを無視することで、シェルが終了してもプロセスが終了しないように設定されています。

具体的には、nohupを用いるとプログラムにシグナルハンドラが設定され、SIGHUPシグナルが受信されても通常の終了処理が行われません。

出力の扱いとnohup.outファイル

nohupを使用した場合、標準出力および標準エラー出力は通常、デフォルトでnohup.outというファイルにリダイレクトされます。

  • コマンド実行時に明示的なリダイレクトが指定されない場合、nohup.outに出力が記録される
  • 出力先を任意のファイルに変更する場合は、シェルのリダイレクト機能(例:> output.log 2>&1)を利用する

この仕組みにより、実行中のログやエラーメッセージを後から確認することが可能です。

nohupの使い方

基本構文と実行例

nohupの基本構文はシンプルです。

以下のように、実行したいコマンドの前にnohupを付けることで、シェル終了後もプロセスが継続して実行されます。

実行方法の具体例

例えば、バックグラウンドで長時間実行するスクリプトscript.shがある場合、以下のように記述します。

nohup ./script.sh &

この例では、シェルからログアウトしてもscript.shが実行され続けるようになり、出力はデフォルトでnohup.outに保存されます。

利用時のオプション紹介

nohup自体はシンプルな動作のため、オプションは限定的です。

主なポイントとして以下の点を確認します。

  • --help

nohupの使用方法に関するヘルプ情報を表示することが可能です。

  • 標準出力・エラー出力のリダイレクト

nohup単体では出力先を変更できませんが、シェルのリダイレクト機能を組み合わせることで柔軟なログ管理が実現できます。

バックグラウンド実行の設定

nohupと組み合わせることで、コマンドをバックグラウンドで実行する設定が容易になります。

実行コマンドの末尾にアンパサンド&を付けることで、シェルから即座に制御が返されつつプロセスが実行されます。

たとえば、以下のように記述します。

nohup long_running_command > mylog.log 2>&1 &

この例では、long_running_commandがバックグラウンドで実行され、標準出力および標準エラーがmylog.logに記録されます。

これにより、シェルの操作とプロセスの実行が並行して行える環境を整えることができます。

利用シーンと実践例

リモートセッションでの活用

リモート接続中に長時間の処理やデータ転送を実施する場合、セッションが切断されると実行中のプロセスが終了するリスクがあります。

nohupを利用することで、このリスクを回避し、安定した運用が可能となります。

SSH環境との連携例

SSHセッションで作業している際、以下のようなコマンドを利用することが考えられます。

nohup rsync -avz /local/dir user@remote:/remote/dir > rsync.log 2>&1 &

このコマンドは、rsyncによるディレクトリの同期処理をリモートセッションが切断されても継続して実行することを保証します。

実行結果はrsync.logに保存され、後から内容を確認することが可能です。

長時間タスク管理での利用

システムメンテナンスやデータ処理など、長時間実行されるタスクに対してもnohupは効果的です。

シェルセッションの終了がタスクに影響を及ぼさず、安定した処理を実現できます。

バッチ処理との併用方法

定期的なバッチ処理や一括データ処理では、nohupを利用してタスクをバックグラウンドで管理する例が多く見られます。

たとえば、夜間に実行するデータバックアップでは、以下のように記述します。

nohup /path/to/backup_script.sh > backup.log 2>&1 &

このように記述することで、夜間の時間帯に安心してバッチ処理を実行することが可能となり、ログファイルから結果を確認することができます。

注意点とトラブルシューティング

ログ出力とエラーチェックのポイント

nohupを利用した場合、標準出力およびエラー出力の管理が重要です。

実行時に出力がnohup.outに保存されるため、定期的な確認が求められます。

特に、エラーメッセージが出力されている場合は、プロセスの正常な動作を疑う必要があります。

nohup.outファイルの確認方法

nohup.outを確認する場合、以下のコマンドを活用できます。

tail -n 50 nohup.out

このコマンドは、nohup.outの最後の50行を表示し、最新のログ内容やエラーメッセージを確認する手段として有効です。

ログファイルが大きくなっている場合は、lessコマンドやgrepコマンドを併用して特定のキーワードを検索すると便利です。

プロセス管理上の留意点

nohupを利用したプロセスは、シェルの終了後も動作を続けるため、その管理方法について留意が必要です。

ログの確認やプロセスの停止方法について、適切な手順を確立しておくことが大切です。

他手法(tmux、screen)との比較視点

nohupはシンプルな実行継続の仕組みを提供しますが、tmuxやscreenといったターミナルマルチプレクサと比較すると以下の点で違いが見受けられます。

  • 接続の再開性

tmuxやscreenでは、切断後にセッションを再接続することができ、対話型の作業が再開可能です。

nohupでは再接続機能はなく、プロセスの実行結果確認にはログファイルのチェックが必要となります。

  • セッション管理の柔軟性

tmuxやscreenは複数のウィンドウやペインを管理できるため、複数のプロセスを同時に監視するケースでは有利です。

一方、nohupは単一のプロセスに特化しており、シンプルな運用に適しています。

  • 利用シーンの違い

nohupはシェルの終了後の処理継続が必要な場合にすぐに利用できるため、単発の長時間処理やバックグラウンド実行に向いています。

対して、tmuxやscreenは対話型のセッション管理が求められる場合に利用すると効果的です。

これらの違いを踏まえ、利用するシーンに応じた適切なプロセス管理手法を選択することが推奨されます。

まとめ

この記事では、nohupコマンドの基本機能や仕組み、実行方法について解説しています。

シェル終了後でもプロセスが継続する理由や、標準出力のリダイレクト、バックグラウンド実行の設定方法が把握できます。

また、リモートセッションやバッチ処理での活用例、ログ確認のポイント、tmuxやscreenとの違いを通じて、nohupの実用的な使い方が理解できる内容となっています。

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